アルテルタンゴが、好きです。
ですが、これほど、人に勧めるのが難しいジャンルもない。タンゴ、というだけで、日本では何やら「古めかしい」印象にとらえられてしまう。昭和のカルチャースクールな雰囲気といいますか。「モヤさま」に出てくるような下町のしょぼくれたバーにかかっているガタガタのレコードの雰囲気といいますか。おじいちゃんやおばあちゃん、せいぜいスナックの中年ママが聴いているような世界だと思われてしまいがち。
だが、そんな人たちにこそ、アストル・ピアソラもレオポルド・フェデリコも何もすっ飛ばして、二十一世紀の新世代タンゴミュージシャンたちの音を、いきなり、聴いてほしい。
特に、私の好みとしては、アルテルタンゴ(ALTERTANGO)というバンドをあげておきましょう。リズム感や、フレーズの哀愁は、間違いなく、イメージ通りの「アルゼンチンタンゴ」。なのに、なんとまあ、いかにも、「現代!」の音に洗練されていることか。
当たり前な話ではありますが、アルゼンチンタンゴも、二十一世紀の今日もなお、進化しております。そのような、「いまどきの」アルゼンチンタンゴの冒険に何かしら胸を打たれてから、次にアストル・ピアソラ、レオポルド・フェデリコと、時代を遡っていくと、アルゼンチンタンゴの「よさ」がどんどん、わかってくるのではないでしょうか?