『軍艦』の章の秋山真之のセリフを座右にTOEICのスコアを直前で押し上げた話

英訳版が出版された、司馬遼太郎の歴史小説『坂の上の雲』。
その物語を追いながら、名セリフや名場面がどのように英訳されたかを勉強していくこの企画ですが、今回から扱う「軍艦」と題された章では、海軍兵学校を卒業し、いよいよ日本海軍士官としてのキャリアを歩み始める秋山真之の姿を追っていきます。

まずは、卒業の背景から。優秀な成績で兵学校に入学した秋山真之ですが、そのまま秀才で通したようで、最終的には「首席卒業」となります。ただし、学内では、

「秋山真之は勉強をせずに首席になった」

と有名になっておりました。もっとも、こういう「勉強をしていない優等生」というものは、現代でも、たまに、いるものです。私の周りにも、いました。こういう人は、友達から大いに羨ましがられるものですよね。でも、私の経験上、そういう人は、実は友達の見ていないところで、猛烈に勉強をしていたりするものなのですが。そういう人は、勉強をしていないわけではなく、ものすごく、勉強の「効率」がいいのでしょう。

実際、秋山真之の「首席卒業」の秘訣については、下級生のこのような証言が取り上げられています。

真之は過去五年間の試験問題というものをコレクションしており、そこから、出題教官の癖や思考を読み取って、「どのような問題を出すか」を事前に予測してから試験に臨んでいた、と。

下級生としては、真之自身の入校以前の時代の試験問題まで、何らかの方法でコレクションしてしまっている真之のやり方に、いささか気味悪さも感じてしまい、

「しかしそれは卑怯ではありませんか」
というと、
「試験は戦いと同様のものであり、戦いには戦術が要る。戦術は道徳から解放されたものであり、卑怯もなにもない」

“But isn’t that unethical?”asked Takeuchi.
“Examinations are like battles. You need a strategy, ant that’s got both to do with morality. It’s not a question of it being ‘ethical’ or not.”

と真之にピシャリと答えられてしまいます。

【キーワード】
ethical:倫理的
unethical:非倫理的

ちなみに、ですが、若き日の私は、『坂の上の雲』のこのくだりを読んで、「試験は戦術である」という真之の言葉に大いに感化されてしまい、それ以降、どんな試験対策でも、真正面から試験対策本をコツコツとやるのではなく、「試験ではどんな問題が出るか」をリサーチして「予測」してから臨むようになりました。

がむしゃらなガリ勉であることを「むしろ恥」と思い、勉強にも「作戦立て」と「効率的なオペレーション」の概念をもちこんだわけですね。

少なくとも、僕がこの考え方を持つようになってから、TOEICのスコアに関しては、めきめき、上がるようになりました。TOEICという試験のシステム自体を研究した上で、対策勉強をするようになったので、効率が上がったのですね。「そんなのは本質的な英語の勉強ではない」ですって?そうかもしれません。しかし、少なくとも、TOEICなどというものはスコアを社会的ステータスに利用する以上の意味合いはないと思っていますので、そういうものと割り切って、効率よく高得点に到達する「作戦」を練ってしまうのが早道では、とも思うのでした。

秋山流の試験対策に共感できるにせよ、できないにせよ、いずれにしても秋山真之という人は若い頃からそういう才人であった、という点は、おさえておきましょう。

司馬遼太郎氏の総括は、以下の通り。

真之の性格と頭脳は創造力がありすぎ、規定のことをいちいちおぼえてゆくことに適していなかった。

Too much creativity in Saneyuki’s temperament and intellect made him ill-suited to learning set, standard things, one by one.

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