トワイライトゾーンで英語を学ぼう!第13回 : NIGHTMARE AT 20,000 FEET

エピソードデータ

タイトル:NIGHTMARE AT 20,000 FEET
エピソード番号:#123 (第5シーズン)
放送日:October 11, 1963
脚本:Richard Matheson
私のお気に入り度:第13位

あらすじ

精神病院から退院したばかりの男性が一人、妻に付き添われて空港にやってきます。彼は神経衰弱から回復し、医者からのお墨付きをもらって、家族のところへ飛行機で帰ることになっていたのでした。病気はすっかり治り、もともと持っていた飛行機恐怖症も克服済、少なくとも医者はそう太鼓判を押してくれたのですから。ところが、飛行機が離陸してまもなく、ふと窓の外を見ると、飛行機の翼の上に、何やら人影のようなものが、、、。

評価

旅客飛行機の中、という一種の密室空間をうまく舞台として使い切った、トワイライトゾーン後期の中でも随一の傑作。1983年に制作された劇場版トワイライトゾーンでも本エピソードはリメイクされておりましたが、そちらの80年代版では、登場する怪物はSFXでいかにも禍々しくデザインされておりました。こちらの、60年代のオリジナル版では、怪物はモコモコの着ぐるみとチープなメイクアップで表現されており、特撮としての質は格段に下。そのはずなのに、オリジナル版のほうがずっと怖いと思います。これは私の持論なのですが、トワイライトゾーンの持ち味は、子供時代に見た悪夢そのもののような非現実感にあるので、リアリティ溢れる特撮技術で表現するとむしろ興ざめもいいところ。60年代のチープな特撮で表現されているからこそ、より味わいが出るものなのです。本編も、怪物の造形がチープだからこそ、なおさら、これが主人公の見ている妄想なのか現実なのかが曖昧になり、怖さが増す。トワイライトゾーンが、その後の時代に、何度リメイクされても、いつも「オリジナルの60年代版にかなわない」と低評価を食らうのは、存外このあたりに理由があるのかもしれません。

作中の気になる英語表現

本エピソードに登場し、しつこく、意地悪に、主人公を怖がらせてくる怪物について、主人公が「そうだ、あれはGremlinに違いない」と言うところがあります。日本で『グレムリン』というと、別のホラー映画のことが思い出されてしまうかもしれませんが、そもそものGremlinというのは、イギリスで語られていた妖精の類。それも20世紀に、イギリス空軍のパイロットたちの間で目撃証言が頻発した、現代妖精とでもいうべきもの。日本でいえば、口裂け女やトイレの花子さんのように、現代人の噂話の中から生まれた存在です。その姿形についてはいろんな目撃談がありますが、共通しているのは、どうやら飛行機に憑くものらしく、機械を故障させたり、墜落事故に追い込もうとしたりしてくる連中、ということ。今でもアメリカの航空業界では、グレムリンが悪さをしないように、飛行機部品の納品時には飴玉をお供えする風習がある、という話もあります。現代になっても妖怪変化の類が好きなのは何も日本人ばかりではないと知り、なんだかこういう話を聞くと嬉しくなる。で、実際、gremlinの目撃談というのはどんなものかというと、たとえば「その手のモンスターや宇宙人」の目撃情報を世界から収集しているサイト、cryptozoologynewsにて、第二次世界大戦生き残りのおじいちゃんが、当時のGremlinとの遭遇譚をここで語ってくれています。飛び先のページの下のほうに再現図がありますが、これを見る限りは、なんだか、スティッチっぽい。それにしてもこのおじいちゃん、「最初にグレムリンを見た時は、日本軍が送り込んできた新手の何かかと思った」と言っている。これって、日本を買いかぶっているのか、バカにしているのか、どちらなのだろうw。ともかくブリテンの妖精伝承に興味が深い僕としては、このGremlinという存在には興味津々です。ただ、飛行機にいたずらをする、というのは、たしかに怖いな。飴玉をあげると納得してくれる、など、いたずら目的なだけで悪意は薄いようなので、そこが救いではありますが。

もっとも、本編に出てくる怪物がグレムリンだったかどうか、というのは、主人公がそう推測しただけであって、本当のところは、正体は、最後までわからない。怪物のほうの意図も、主人公が飛行機恐怖症と知った上でからかいに来ていたのか、それとも逆に主人公が飛行機恐怖症だから「見えた」怪物というだけで、向こうは向こうで「俺のことが見える人間がいるのだなー」と不思議がっていたということなのか。物語の原因も背景も、相手の意図も不明、まさにトワイライトゾーン!

せっかく命を張って怪物と戦ったのに、飛行機から降ろされてみれば、”Nuttiest way of trying to commit suicide I ever heard of.”(こんなばかばかしい自殺志願者は初めてだよ)」と空港職員に呆れられ、タンカで運ばれていく始末。かわいそうに、主人公はきっと精神病院に戻されたのでしょう。それでも本人は、奥さんからの「もう大丈夫よ(奥さんはグレムリンのことは知らないので、タンカにくくりつけられた夫をなだめるためにそう言っている)」の言葉に、”I know, but i’m the only one who does know right now.”「ああ、そうだね。けれども、本当に『もう大丈夫だ』ってことを理解しているのは、僕一人だけなんだ」と言って哀しく笑う。あの主人公がきっと、この物語の後で、今度こそ病気を治して、今度こそ家族のもとに帰ったことを、祈るばかりです。ただし、次に退院したときは、彼はぜったい飛行機は使わないでしょうけれども(まぁ、そもそも周りの人間が二度と使わせないか、、、)。

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