トワイライトゾーンで英語を学ぼう!第10回 : THE EYE OF THE BEHOLDER

格調高い動詞、beholdを使った諺・格言を学びましょう!

エピソードデータ

タイトル:THE EYE OF THE BEHOLDER
エピソード番号:#42 (第2シーズン)
放送日:November 11, 1960
脚本:Rod Serling
私のお気に入り度:ベスト10

あらすじ

ある病院の中、顔を包帯でぐるぐる巻きにされた女性が一人、病室で孤独な日々を過ごしています。患者の名前は、ジャネット・タイラー、あまりにも醜い顔に生まれてしまった為、これまで、どこへ行っても蔑まれ、差別され、行き場を失くした挙句、この病院に逃げ込んできたという人物です。看護婦たちが同情しつつも、恐ろし気に語るヒソヒソ話を聞くと、「かわいそうに、もしわたしがあんなひどい顔に生まれついていたら、自殺しているわよ!」「先生も、あまりにかわいそうなので、今回の手術を請け負ったそうだけど、うまくいったかどうかは包帯をとるまでわからないそうだし、、、」。
そう、ミス・タイラーは、この病院で整形手術を受け、術後の治療を受けているところなのです。「決して美人にしてほしいわけじゃない! ただ、どうか、普通の顔にしてください!」そんなミス・タイラーの悲痛な叫びに、病院の医者や看護婦たちは、応えることができるのでしょうか?彼女の包帯を取る予定日が、だんだん、近づいてきておりました。
・・・ところで、この物語を鑑賞していると、なんだか、映像の撮り方や、登場人物たちのセリフの中に、色々とおかしな点があることに気づくかもしれません。後半、ミス・タイラーの包帯が取られた時、その理由は一瞬で、明確になるでしょう

評価

つい先日、銀座の居酒屋で、私がトワイライトゾーンのことをブログで扱っている話をしたところ、年配のおっさんが「ああ、知っているよ! 包帯ぐるぐる巻きの女の子が出てきて、その包帯を取ったら、実は、、、っていう、あれだろ?」と声をかけてきました。そんなに海外ドラマが好きとも思えない、居酒屋のおっさんでさえ、このエピソードは知っていた(!)という、これは究極の傑作! 

あまりに有名なので、いろんなメディアでネタバレがされてしまっている状況ですが、できればこの作品は、事前ネタバレなしの新鮮な状態で、多くの人に観てほしい! 

ドンデン返しの妙、管理社会への恐怖、視聴者の盲点を突く伏線の巡らせ方、印象的なセリフ回し、そしてラストの余韻と、いろいろな意味で、シナリオの切れ味が抜群に効いている! 脚本家としてのロッド・サーリングが、ノリにノッていた時期の傑作と言えるでしょう。

作中の気になる英語表現

本作は、セリフ回しが、とてもいい!なんだか詩のような、あるいは演劇の独白シーンのような、綺麗な英語が、特に主人公ミス・タイラーのセリフに続出します。私のお気に入りのパートを引用してみると、

I never really wanted to be beautiful, you know.
I mean, I never wanted to look like a painting.
I never even wanted to be loved, really.
I just wanted people not to scream when they looked at me.
(拙訳)私は別に、美しくなりたいわけじゃない。
別に絵に描いたような顔になりたいと言っているわけではないし、
ましてや、人に愛されたいというつもりでいるわけでもない。
ただ、誰かが私の顔を見て、悲鳴をあげて逃げ出す、そんな日々から助けてほしいだけなの

May i just go and and sit in the garden?
Just for a little while.
Just to feel the air.
Just to smell the flowers.
Just to make believe I am normal.
(拙訳)先生、私、(包帯のままで)庭に出て座ってきてもいいですか?
ほんのしばらくの時間だけ。
ただ、空気を感じて、
花のにおいを嗅いでみたいだけ。
ほんのしばらく、私もまた『普通の人間』であると信じられるように。

上記で、ヒロインが「normal」という言葉を使っていますが、他にもこの作品においては、”a single norm”とか”a single morality”とかいった、「普通であること」「唯一の基準に従うこと」を示す言葉が頻発します。これらがすべて、ドンデン返しの、伏線になっているわけです。

最後に、本作品のタイトルについて述べておきましょう。THE EYE OF THE BEHOLDER。ここで出てくるbeholdという動詞は、聖書だとか、中世文学とかに頻出する、少し古い英語としての「見る」という動詞です。日本語で言えば、「見よ」とか「御覧になられい」というような、「意味はわかるけど、なんだか時代劇の中の言葉みたいに聞こえる」語彙となっています。だから、現代英語の日常会話ではあまり使いませんが、当然、歴史モノの映画とか、聖書や古典文学からの引用では頻出します。

たとえば私の手元には、ダンテの『神曲』の英訳版というマニアックなものがあるのですが、この中では、
“Behold the beast, for which I have turned back!”のように使われています(岩波文庫版の日本語訳では、「見てください獣を、あれに追われて戻ってきたのです」と訳されているパート)。聖書の言葉で有名な「空の鳥を見よ」のところも、英語では”behold the flows of the air”.
ただし、ネイティブの意見として聞いたところによると、「動詞のbeholdは古臭く聞こえるけど、名詞化したbeholderは、格言やことわざによく出てくるから、現代英語でもそんなに違和感ないよ」とのこと。

で、”Beholder”という言葉が入っている有名な格言の一つが、”Beauty is in the eye of the beholder.”「美醜は見る人次第による」というもの。まさにこの格言が、本作のタイトルに使われている上に、本作の(怖くも感動的な)オチにも見事に関わってきます!

それにしても、本作の主人公、ミス・タイラーは、逆説的な意味で、「トワイライトゾーンシリーズ中の、忘れがたい名ヒロイン」の一人といえるでしょう。このラストの後、どのような生涯を送ったのかは明示的には語られていませんが、なんとか、幸せになってほしい。。。

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