少数言語を学びたい人にこそネット社会は輝く(ウェールズ語の話)

・・・と、タイトルを決めてみたものの、70万人の話者を抱えるウェールズ語について「こんなに立派にがんばっている言語を少数言語と呼ぶな!」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。そこは迷いつつですが。

ある程度は客観的な指標もあって、たとえばユネスコの基準に従えば、ウェールズ語は「脆弱」のランクに属するようです。ということは「やっぱりウェールズ語は少数言語」と呼んでもいいのではないか、と思いますが、「いや『脆弱』で済んでいるならまだまだいいほうなのだ!」という反論もスグ来そうで、やはり、迷います。ところで、このユネスコの基準をよく見てみると、ウェールズ語よりもスコットランドゲール語やアイルランド語のほうが「危険」扱いなのですね。これは意外な! 少なくとも日本においては、同じケルト系といっても、アイルランドやスコットランドのほうが知名度が高くて、ウェールズのことなどラグビー好きかサッカー好き(ギグスとベイルのおかげ!)くらいしかピンとこない程度の人気のはずなのに、言語政策としてはウェールズが優勢とは!

ともかく、ウェールズ語。これはもう、やればやるほど、面白い!

面白いのですが、しかしいっぽうで、こんなふうにも思っています。

今日のようなネット社会じゃなかったら、私はとうてい、ウェールズ語をやろう、などとは、思わなかっただろう、と。こういうご時世だから、やる気が起きたのだ、と。

だって、英語や中国語、あるいはスペイン語やドイツ語と比較してみれば、もう明白でしょう。「ウェールズ語学習」なんて、どう考えても、個人的な趣味にしかならない! そもそもウェールズの人たちはイギリス国民でもるので、当然英語を使う人たちなのだから、わざわざ外国人がウェールズ語を使う機会なんて、ウェールズに行ったとしても、無理をしなければなかなか訪れない。

「そんな個人的趣味に、お金と時間を投入するなんて、なんと物好きな!」

・・・と言われても仕方がない。ですが、私としては、こう主張したい、「いやいや、ところがですよ、最近のネット社会では、そんな少数言語の勉強もかなり気軽にできちゃうんです。入門レベルで済ませるなら、そんなにお金もかけず、そんなに時間もかけずに!」と。

この辺りは、日本という国も凄くて、ウェールズ語の解説のサイトなら日本語でもいくつか見つかりますし、キチンとした語学テキストブックも三修社から出ています(『ウェールズ語の基本』)。英語ができる人なら、もっと楽になって、そもそもイギリスのサイトを廻ればどんどんよい学習サイトに出会える。特に、BBCのサイトには、ウェールズ語学習サービスがちゃんとあって、これをブックマークしておけば、無料でがんがん練習ができる!

そして、なにより、嬉しいのは、こういう少数言語を使ってネットで何かしら発信してみると、発見されるまではいささか気長に待つ必要がありますが、いずれは、ネイティブスピーカーが見つけてくれて、喜んでコメント返しをしてくれます。これは本当に面白いことです。70万人しか話者がいない国の人と会話をする機会なんて、こちらから出かけていかないと不可能なことと思われていたはずなのに!

つまり、昔に比べて、「世界の少数言語をちょっとやってみよう!」という人にとっての敷居は、ずいぶん低くなったはずなのです。その上、偉そうな言い方になってしまいますが、こういう勉強をしていると、「話者人口が減っている言語を守るという崇高な運動」にささやかながら貢献しているような気になって、なんとなく優越感も味わえる(!)。いや、これは勝手な自己満足にすぎないとは百も承知なのですが、学習のモチベーション維持には十二分な気持ちになれる。

というわけで、こんなありがたいご時世、私もますますウェールズ語をはじめとするケルト系に埋没していこうと意気込んでいこう、そして、他にもどんどん、「話者が少なくなっている危機にある外国語をあえて勉強するぞ!」という動きをする人が増えていけばいいな、と思っています、、、というオハナシでした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です