英文を書くとき、どうして僕ら日本人は文章がやけに長くなるのだろうか

英語を継続的に勉強し、ネイティブの方に教えを乞う機会が増えれば増えるほど、厳しい意見や批判を受けることも増えてきます。時には、私一人に対する意見にとどまらない、日本人英語一般に対する率直な意見を突然食らうことも。

実は私、最初はそういう議論をふっかけられることに慣れず、うろたえることもありました。ですが、最近ようやく、英語圏の人は普通の会話の中で(話題提供として)、批判的なことや異論反論的なことを突然ぶつけてくる習慣があるというだけなのだと気づき、慣れました。

で、私がしばしば受ける批判の代表格。

「日本人の書く文章は、冗長で、長い」

ということを、もっとハッキリいう人は、

「ぐにゃぐゃと長たらしい文章で、古い時代の大学教授の文章みたいに傲慢に見える」

これを僕が言われた時はさすがに考え込んでしまいました。まず、純粋に英語スキルの上達ということだけで言えば、ネイティブにそんなイヤミを言われるくらいのレベルに長年かけて到達できたわけなので、喜ぶべきところもあるのですが。でもまあ、グサリとは、きます。

なんでこうなるんだろう?

ひょっとして、僕は母国語である日本語で文章を書いている時も、冗長になっている傾向があるのではないか? そう心配してくると、たしかに、僕の日本語文章自体にもそんな傾向があるような気がしてましたが(!)。

しかし、私にそう言ってくる人達は、「いや、日本人で英語が上手い人の共通の弱点だ」と言うので、何かもっと、根が深い問題がありそうです。

仮説としては、日本語と英語の発想が違いすぎるので、どうしても、英語を使う時の日本人は細かい説明をいちいち入れようとしてしまう(で、ネイティブからすると、「なにをわかりきった前置きをダラダラ話しているんだろう」となってしまう)とか、そういう辺りなのかな、と思っているのですが。

やや衝撃だったのは、上記の「大学教授みたいだ」の批判を受けた後、おおいに反省して、おもいきり文章も短くし、ひとつひとつのセンテンスも短くし、語彙も簡潔にした文章を書いて同じ人に見せたところ、「これでもまだまだダメ」と一蹴されたこと。これはそうとうに根が深い問題になりそうな。

結論として、

純粋な英語の知識の上達と、

コミュニケーションスキルとしての英語の上達は、まったく別、ということ。

そしてどうやら後者は、いろんな人と英語で話して、厳しい意見も多々いただいて、いろいろ痛い目を見ないとなかなか上達しない、気合いと打たれ強さがモノをいう領域なのだな、ということです。

というわけで、私はまた、「大学教授みたいだ」批判をしてきた方に見せる別の文章を書き、何度も推敲しております。今度こそ、「よくなった」と言われますように、、、!

トワイライトゾーンで英語を学ぼう!第14回 : THE INVADERS

エピソードデータ

タイトル:THE INVADERS
エピソード番号:#51 (第2シーズン)
放送日:January 27, 1961
脚本:Richard Matheson
私のお気に入り度:ベスト14

あらすじ

広大な田舎の大視線の風景。その中にひとつ、ぽつねんと、一見の家が建っています。住んでいるのは中年の女性ただ一人。寂しいながらも、自然に囲まれた、静かで穏やかな暮らしのように見えます。ところがある夜、轟音と共に、彼女の棲む家に何かが落ちてきました。音のした二階へ上がってみると、そこには、宇宙から来たものと思われる、不思議な形の、模型のような小さな乗り物が。その中から、手のひらに載る程度の、小さな宇宙人たちが降りてきます。この小さな宇宙人たち、物陰に隠れてふいに刃物で襲ってきたりと、かなり知恵の回るクセモノ。静かな一人暮らしの一軒家は、たちまち、逃げ場のない孤独な戦場と化すのでした。それでも果敢に宇宙人たちに立ち向かうことを選んだ女性ですが、やがて意外な事実が明らかに。。。

評価

脚本を書いたのは、ファンタジー作家のリチャード・マシスン。「小さいがゆえに手ごわい怪物」という逆転の発想で、じわじわと主人公の女性を(そして視聴者の心理を)追い詰めてくる脚本の妙と、例によって、「特撮技術がチープ分、かえって悪夢そのままに見える」トワイライトゾーンならではの不気味な雰囲気がいい味を出しています。しかし本編の最大の見どころは、やはりラストのドンデン返しにあり、と言えるでしょう。

作中の気になる英語表現

類型的には、叙述トリック、というのでしょうか。「語られている物語の、語り口そのものが錯覚を起こさせるためのトリックだった」というオチなので、こういう作品の英語表現を拾って紹介するのは難しい。

なにせこのエピソード、どの場面を切り取っても、うっかり、ネタバレしてしまいそうになる(w)ので、

ここは少し趣向を変えて、物語の舞台となっている、広大な田舎の中の一軒家、という設定を言い表すのにぴったりな英語表現とは何か、を考えていきましょう。というのも、私、つい最近、ネイティブの英語話者を相手に、「お化けが出てきそうな人里離れた場所、というものを語る時に、ぴったりな言葉は何か?」という質問をネット掲示板にアップして、かなり盛り上がった議論をしてきたばかりだからです。

そこで出た結論としては、「人里離れた場所、と言いたいのなら、isolated でいいじゃないか」とか、「直入にspookyでいいじゃないか」とかいう、わりかし身も蓋もないところに落ち着いてしまったのですが。しかし、私の質問の本来の趣旨、「幽霊話にふさわしい、さびしい田舎の風景」を表すにはどうしたらよいのか、と考えていると、ふと思い出したのが、トワイライトゾーンの、この作品。オープニングのナレーションで、こんなふうに語っています。

This is one of the out-of-the-way places, the unvisited places, bleak, wasted, dying.

「よし、今後、僕が幽霊話を英語でやるときは、これをこのままパクろう!」と決意したくらい(!)、うまくハマッているオープニングナレーションと思います(ノンネイティブである私の感想であって、ネイティブの意見はまたいつか、収集してみたいと思っておりますが)。語り口として、ゴロがいいのも高評価。

ちなみに、アメリカの幽霊話(都市伝説系)では、こういう舞台設定はどんなふうに語られているのか、サンプルがほしいと思い、私の愛読書のひとつである”The Vanishing Hitchhiker”に収められている都市伝説のサンプルから、「書き出しの事例」を集めてみると、

They were driving along a country road…(彼らが田舎の道路をドライブしている途中、、、)

The house was rather isolated and so she asked a friend, Sharon, to go along with her.((用事があって出かける先の家は)比較的孤立した場所にある家だと聞いたので、彼女は心配になって、友達のシャロンに一緒に行ってくれるようお願いした)

後者の場合、シャロンは死ぬ予感がプンプンする登場ですけれどもね。

ここまで言っておいてなんですが、out-of-the-way place も、a country roadも、an isolated houseも、まさに英語であるがゆえに、ぱっと聞いた印象では「広大な荒野の中」という印象になってしまって、日本のジメジメ、鬱蒼とした、森に囲まれた田舎の一軒家を舞台にするならば、もっともっと説明調にしないと感じが出ないかも、などとも、思ったりしました。言われてみれば、ですが、小さな宇宙人が乗った宇宙船に突入される一軒家とか、いつまで走っても同じヒッチハイカーが先回りをしている広大な砂漠の中のハイウェイとか、トワイライトゾーンの怪談って狭い日本では成立しにくい設定のものが多いかもしれませんね。。。

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学校英語が悪い、というのもまた都市伝説である話、そもそも「ひとつの英語」などない話

英語というもの、勉強すればするほど、思うことは、この世界こそ危険な妖怪がそこらじゅうに跋扈している、ということです。

健康法とか、資産運営、情報に溢れているように見えて実は間違った情報が大量に紛れ込んでいる領域、というのは多々ありますが、英語の世界もまた然り。そして、これまた健康法や資産運営とかと同じく、「オレはこのやり方でうまくいったから、これこそが正しいのだ」と善意と自信に溢れた情報発信をしている人ほど、実は都市伝説の流布に加わってしまっているだけであり、実にややこしい。英語に関して言えば、「ネイティブが教えてくれたこと」「帰国子女が教えてくれたこと」「本に書いてあったこと」が、正しいとは限らないので、なおさら、ときには絶望的になる。

典型的な話が、学校英語というものへの攻撃です。私の周りにも、ネイティブや、帰国子女が何人かいて、そういう人たちがよってたかって、私の学校英語を矯正してくれます。「日本の英語教育ではそんな教え方をしているのか? 今のネイティブはそんなふうには言わない。よし、俺が今時の英語を教えてやる」というパターン。私も一時期までは、彼らのいうことを信じ、「日本の学校英語はダメなんだ」と思っていたのですが、その後、ネイティブの方々とのつながりがもっと広がると、「そんな砕けた言い方は格好悪いから使わないほうがいい」とアドバイスを多々受けるようになりました。で、そういう人のアドバイスの通りにすると、今度は学校英語に急激に戻っていくw。しかも、彼らのいうことを信ずるならば、「日本で出版されている、『日本の学校英語は間違っている』系の書籍こそ、間違っている」ということになってくるので、図書館や書店に行けば解決する問題でもなく、ますます混迷は深まります。

いったい誰が本当のことを言っているのか。

・・・と、悩む必要もあんまりなくて、

実は、答えはだんだんわかってきているのです。「唯一の絶対正しい英語などというものはどこにもない」ということ。「政府や大学が定めているものが基準だろう?」という言い方もありますが、実はそういうものも、日本の常用漢字の制度と同じで、「世の中をリサーチして、現代の使用ではこれが一番標準的」と定めているだけで、彼らが神のように言語の正規形を支配しているわけではない(とはいえ、言語の細かいことについて調べ物をするときは、政府機関や大学から出版されているものにもっぱら頼った方がいいとは思います)。いわゆる「ネイティブチェック」というのもそういうもので、ある人は「日本の学校英語はぜんぜんダメ」と善意で添削してくるし、ある人は「日本の学校英語の何がそんなにいけないの?」と首を傾げてくる。でもそれは、英語がまさに生き物で、今もどんどん進化している、ということの証拠に他ならない。

結局、「はやいところ、自分なりの英語に対するスタンスを確立することで、あまり他人の意見に振り回させないようにしつつ、かつ、いいなと思ったアドバイスはどんどん取り入れる柔軟性も残しておきましょう」くらいのことしか結論はないのですが

ただ、ひとつだけ、最後に言いたいことがありまして、

日本にいる「帰国子女」や「自称英語ができる人」たち、あなたたちも是非、英語に対する謙虚さを忘れないでください、というのも、あなたたちが時に、自信たっぷりに「これこそが正しい英語だ」と発信していることが、まさにただの都市伝説にすぎない場合が多々あるのです!それが妖怪としてますます、英語を勉強している不特定多数の人々の邪魔をするのも問題ですが、もっと恐ろしいのは、それによってたくさんの人から「結局英語はわけわからん」と学習意欲を削いでしまうこと。

妖怪だらけの世界も、それはそれで、みんなで探検する対象としては面白い世界なのですから。常に「あなたも間違っているかもしれないが、僕のほうも間違っているかもしれない」という謙虚さで、この妖怪世界を探索する仲間を増やしていけるよう動きが広まっていけばよいかなと思います。

『トワイライトゾーン/超次元の体験』でも英語を学ぼう

本ブログにて着々とアップロードを続けている、「トワイライトゾーンで英語を学ぼう」のシリーズですが、今回は少し趣向を変えて、1983年に公開された、劇場版のトワイライトゾーン、『超次元の体験』について触れてみましょう。

もっとも、「触れてみましょう」などという、距離を置いた言い方になってしまっている通り、

私は、1960年代の、オリジナル版の『トワイライトゾーン』のファンではありますが、その後制作された複数の「リメイク版」「劇場版」の類にはあまり高い評価を与えられずにおります。それなりに面白いこともあるのですが、やはり、オリジナル版のモノクロのテレビシリーズ版の輝きは、後発の作品には、あまり感じられない。

この「劇場版」にも同じことが言えます。不思議なことに、この「劇場版」は4話のオムニバス構成で、そのうちの3つは、オリジナル版に含まれていたエピソードのリメイク。同じエピソードを最新のSFXでリメイクしたのだから、面白くなるかと思いきや、

はっきり言うと、普通のホラー映画になっちゃった。

オリジナル版と何が違うのかというと、本当に些細な要素の組み合わせの違いと思うのですが、大きなところで、問題点が二つ。何といってもオリジナル版は、制作者のロッド・サーリングが毎回ナレーターとして顔出しで登場するなど、「作家性」にあふれていた。気概のあるテレビマンたちが集まって、「テレビという(当時としては)新しいメディアで、何か一発当ててやろう!」という気合がビシビシ感じられた。テレビドラマというものが「最先端の表現の冒険」であった時代の作品であるだけに、俳優の演技や特撮よりも、作り手の(特に脚本家の)意気込みに感情移入してしまい、「時代は違うが、僕も何か、クリエイティブなことを生涯の間でやってみたいものだ!」という、やる気がグンと出る。それが、オリジナル版の後光になっているのです。もうひとつは、これはもう決定的な話になってしまうのですが、「トワイライトゾーンの魅力の鍵は、1960年代のレトロなデザインや特撮にこそ、ある!」ということ。「ヒュワヒュワヒュワ」という謎めいた電子音と一緒に、紐でぶらさげられていることが明白なチープなUFOの大群が飛んでくる、とか、そういったレトロ映像技術こそが、逆説的にも、悪夢のような曖昧な世界を演出している。その観点でいうと、トワイライトゾーンを最新のSFXでハデにリメイクすること自体、あんまり意味はない、ということになってしまいますが、、!

ただ、この劇場版にも、いいところが、あります。

本編が始まる前の、オープニングの、10分程度の、ショートムービーです。二人の男性が、アメリカの田舎の夜道を車でドライブしており(たぶん片方はヒッチハイカーなのでしょう)、退屈にかまけて、「昔のテレビドラマの主題歌でクイズをやろうぜ」と相成ります。いくつかのアメリカの古いテレビドラマに関するクイズを出し合った後で、「トワイライトゾーンは面白かったなぁ。怖かったなぁ」という話になり、すると男の片方が、「そうだ。怖い話をやろうか」という雰囲気になって、そして、、、小学生の時の私を震え上がらせたトラウマシーンに突入するのです!このオープニングは忘れがたい。失礼ながら、120分ほどあるはずのこの映画の中で一番面白いところなんじゃないかwとまで思ってしまいます。

どう、トラウマなのか?

これはもう、動画配信なりレンタルDVDなりで皆さんで確認していただくとして(一番怖いシーンだけをピックアップした動画もYOUTUBEでわりと見つかります。心臓には悪いです)。

このブログの趣旨に沿って。その「いちばん怖いオープニングのショートストーリー」から、いくつか英語表現を拾ってみましょう。

“l think your tape got eaten.”「カセットテープが絡まっちゃったみたいだぜ」

ドライブ中に音楽を聴いていたら、カセットテープがデッキに絡まって壊れてしまい、音楽が中断してがっかりなシーン。got eaten,「デッキにテープが食われた」と言っています。カセットテープ「あるある」な話ですが、今の若い人にはなんのことやらさっぱり、かもしれませんね。。。

“Hey, you like trivia?” 「なあ、トリビアクイズをやらないか?」
“Yeah.”「いいね」
“Okay, wanna play TV theme songs?”「よし、じゃあTVドラマのイントロクイズでいくぞ」

デッキが壊れてやることを失った二人組は、クイズを出し合って暇つぶしをすることにしました。英語でもこういうクイズゲームは「トリビア」というのが面白い。で、ついにそれにも飽きてきたとき、助手席の男が言います。

“You wanna see something really scary?”
「なあ、すごく怖いものを見てみたくないか?」

唐突にそんなことを言い始めた助手席の男が、次に何をしたかというと、、、あとは本編の映像でぜひ、ご確認ください!

祝祭や祭儀に一緒に飛び込むような外国語学習でなければ意味がない

梅田修氏の『英語語源事典』を読んでいたら、実に興味深い記述がありました。「印欧語族について一般に言えることは、祝祭や宗教に関係する言葉が特に豊かであるということである。彼らは自然現象や死者の霊、あるいは、得体の知れない魔力などに強い感謝や畏怖の念をもち、それらを神格化して呪術や犠牲でもって神々の加護を得ようとした」

残念ながら、僕の語学の知識では、この主張がどこまで正しいかについて気の利いたコメントはできない(「その通りだが、セム系語族にも宗教や祝祭のボキャブラリーは多いぞ」「ウラル語族もまあまあ多いぞ」とか言った感想が述べられれば、格好良かったのに、そこまでの勉強量は、まだ、ない。悔しいながら)。

けれども、少なくとも、英語を勉強しているときの一番面白いところは、神とか悪魔とか天使とか、あるいは、占星術とか呪術とか魔法とかを巡る語彙を追いかけている時だ、というのは、僕も日々実感しているところです。そして、それが、一見無味乾燥な現代英語についての勉強にも、とんでもない光明を与えてくれることがあるのです。

たとえば、「災害」を意味する、disasterという単語。 実はこの中には、starの語源となった、「ステラ」の音が隠されている。「幸運の星から離れてしまう」というのが本来の意味で、それが「不吉なことが起こる」→「災害」となった、つまりもともとは占星術から出てきた単語なのです。他にも、「考える」を意味するconsider の中にもstar と同語源の音が隠されていて、こちらは本来は「星を見ながら思いをはせる」こと。このように探ると、現代英語のボキャブラリーの中に、古代や中世の人々の持っていた豊饒な感受性の世界が透けて見えてきて、がぜん、外国語の勉強も楽しくなるのです。

だから、どうしても僕は、英語の語源や英語史の話を読むときは、宗教や祝祭、呪術や迷信にかかわる語源エピソードを探してしまう。そういう話に触れている時にこそ、「英語を使った昔日の人々」と時空を超えて共感が起こるような気持ちを味わえる。

そんな外国語学習は、効率が悪い?

そうかもしれません。ただし、今日のように、辞書を引こうと思えば手元のスマートフォンからすぐに引けてしまう時代に、無味乾燥な丸暗記系の外国語学習は、あまり意味がないのではないか、などとも、思っております。

自動翻訳や、辞書検索がどんどん便利になる時代においては、むしろ、僕のような「自分と違う感受性を体感する」ための外国語学習が重要なのではないか。などとも思って、ますます、ブレることなく、語源や歴史にいちいち遡る「見た目は非効率な」外国語学習を今日も続けております。

人類学を比喩にとると、アマゾンの奥地の珍しい民族に会いに行った学者が二人いたとします。そして、「彼らの祭りに参加して、祭りに一緒に参加して、彼らと一緒の気持ちを共感したい」という学者と、「彼らの祭りの外にいて、観察ノートをとり、あくまで冷静にサンプルの記録をとる」学者と、二人の研究方法が分かれたとします。おそらく、プロの学者ならば、後者のスタイルのほうが望ましい、とされるのではないでしょうか。他文化を研究するとき、主観的な感動を求めるのか、客観的なデータ分析に徹するのか、これは永遠の議論かもしれませんが、

ありがたいことに僕の場合は、プロの学者でもなんでもない、アマチュアの語学好きにすぎないので、難しいことは抜きにして自分の好きな方の研究方法を取れる(勉強したことを人に教える時に間違ってはいけない、というくらいの責任感は、アマチュアとはいえ持たねばならないとは思いますが)。ならば僕の場合は、とことん、前者の立場、祝祭や祭儀を見たら「僕にもやらせて!」と飛び込んでいく異文化理解者でありたいし、

繰り返しになりますが、データならスマートフォンで一瞬で取れるような今日においては、ますます、そのような勉強方法のほうが重要になっているのではないかな、と思うのでした。

というわけで、英語の問題集を解くよりは、英語の語源や歴史の本をじっくり読む時間を作りたいし、

異文化体験のイベントにはガシガシ飛び込まねば、そして何より、もっともっと、旅をせねば。

トワイライトゾーンで英語を学ぼう!第13回 : NIGHTMARE AT 20,000 FEET

エピソードデータ

タイトル:NIGHTMARE AT 20,000 FEET
エピソード番号:#123 (第5シーズン)
放送日:October 11, 1963
脚本:Richard Matheson
私のお気に入り度:第13位

あらすじ

精神病院から退院したばかりの男性が一人、妻に付き添われて空港にやってきます。彼は神経衰弱から回復し、医者からのお墨付きをもらって、家族のところへ飛行機で帰ることになっていたのでした。病気はすっかり治り、もともと持っていた飛行機恐怖症も克服済、少なくとも医者はそう太鼓判を押してくれたのですから。ところが、飛行機が離陸してまもなく、ふと窓の外を見ると、飛行機の翼の上に、何やら人影のようなものが、、、。

評価

旅客飛行機の中、という一種の密室空間をうまく舞台として使い切った、トワイライトゾーン後期の中でも随一の傑作。1983年に制作された劇場版トワイライトゾーンでも本エピソードはリメイクされておりましたが、そちらの80年代版では、登場する怪物はSFXでいかにも禍々しくデザインされておりました。こちらの、60年代のオリジナル版では、怪物はモコモコの着ぐるみとチープなメイクアップで表現されており、特撮としての質は格段に下。そのはずなのに、オリジナル版のほうがずっと怖いと思います。これは私の持論なのですが、トワイライトゾーンの持ち味は、子供時代に見た悪夢そのもののような非現実感にあるので、リアリティ溢れる特撮技術で表現するとむしろ興ざめもいいところ。60年代のチープな特撮で表現されているからこそ、より味わいが出るものなのです。本編も、怪物の造形がチープだからこそ、なおさら、これが主人公の見ている妄想なのか現実なのかが曖昧になり、怖さが増す。トワイライトゾーンが、その後の時代に、何度リメイクされても、いつも「オリジナルの60年代版にかなわない」と低評価を食らうのは、存外このあたりに理由があるのかもしれません。

作中の気になる英語表現

本エピソードに登場し、しつこく、意地悪に、主人公を怖がらせてくる怪物について、主人公が「そうだ、あれはGremlinに違いない」と言うところがあります。日本で『グレムリン』というと、別のホラー映画のことが思い出されてしまうかもしれませんが、そもそものGremlinというのは、イギリスで語られていた妖精の類。それも20世紀に、イギリス空軍のパイロットたちの間で目撃証言が頻発した、現代妖精とでもいうべきもの。日本でいえば、口裂け女やトイレの花子さんのように、現代人の噂話の中から生まれた存在です。その姿形についてはいろんな目撃談がありますが、共通しているのは、どうやら飛行機に憑くものらしく、機械を故障させたり、墜落事故に追い込もうとしたりしてくる連中、ということ。今でもアメリカの航空業界では、グレムリンが悪さをしないように、飛行機部品の納品時には飴玉をお供えする風習がある、という話もあります。現代になっても妖怪変化の類が好きなのは何も日本人ばかりではないと知り、なんだかこういう話を聞くと嬉しくなる。で、実際、gremlinの目撃談というのはどんなものかというと、たとえば「その手のモンスターや宇宙人」の目撃情報を世界から収集しているサイト、cryptozoologynewsにて、第二次世界大戦生き残りのおじいちゃんが、当時のGremlinとの遭遇譚をここで語ってくれています。飛び先のページの下のほうに再現図がありますが、これを見る限りは、なんだか、スティッチっぽい。それにしてもこのおじいちゃん、「最初にグレムリンを見た時は、日本軍が送り込んできた新手の何かかと思った」と言っている。これって、日本を買いかぶっているのか、バカにしているのか、どちらなのだろうw。ともかくブリテンの妖精伝承に興味が深い僕としては、このGremlinという存在には興味津々です。ただ、飛行機にいたずらをする、というのは、たしかに怖いな。飴玉をあげると納得してくれる、など、いたずら目的なだけで悪意は薄いようなので、そこが救いではありますが。

もっとも、本編に出てくる怪物がグレムリンだったかどうか、というのは、主人公がそう推測しただけであって、本当のところは、正体は、最後までわからない。怪物のほうの意図も、主人公が飛行機恐怖症と知った上でからかいに来ていたのか、それとも逆に主人公が飛行機恐怖症だから「見えた」怪物というだけで、向こうは向こうで「俺のことが見える人間がいるのだなー」と不思議がっていたということなのか。物語の原因も背景も、相手の意図も不明、まさにトワイライトゾーン!

せっかく命を張って怪物と戦ったのに、飛行機から降ろされてみれば、”Nuttiest way of trying to commit suicide I ever heard of.”(こんなばかばかしい自殺志願者は初めてだよ)」と空港職員に呆れられ、タンカで運ばれていく始末。かわいそうに、主人公はきっと精神病院に戻されたのでしょう。それでも本人は、奥さんからの「もう大丈夫よ(奥さんはグレムリンのことは知らないので、タンカにくくりつけられた夫をなだめるためにそう言っている)」の言葉に、”I know, but i’m the only one who does know right now.”「ああ、そうだね。けれども、本当に『もう大丈夫だ』ってことを理解しているのは、僕一人だけなんだ」と言って哀しく笑う。あの主人公がきっと、この物語の後で、今度こそ病気を治して、今度こそ家族のもとに帰ったことを、祈るばかりです。ただし、次に退院したときは、彼はぜったい飛行機は使わないでしょうけれども(まぁ、そもそも周りの人間が二度と使わせないか、、、)。

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トワイライトゾーンで英語を学ぼう!第12回 : LITTLE GIRL LOST

エピソードデータ

タイトル:LITTLE GIRL LOST
エピソード番号:#91 (第3シーズン)
放送日:March 16, 1962
脚本:Richard Matheson
私のお気に入り度:ベスト12

あらすじ

夜中に子供部屋から、両親を呼ぶ六歳の少女の泣き声が聞こえてきます。きっとベッドから落ちたのか、あるいは悪い夢でも見たのだろう。そう思って両親が寝室に入ってみると、ベッドの上にも下にもクローゼットの中にも、どこにも愛娘の姿がない。しかし奇妙なことに、部屋のどこかから、シクシクと泣き声だけは聞こえてくるのです。いったいどこへ相談すればよいのか迷った両親は、ともかく、友人の物理学者に助けを求めます。彼が子供部屋を調べまわったところ、どうやら、この部屋に、異次元への入り口が開いてしまっているらしい。果たして彼らは女の子を次元のハザマから連れ戻すことができるのでしょうか。

評価

「あの状況で、どうして両親は警察や消防よりも先に、物理学者に電話を掛けたのだろう??」というツッコミを入れたくて仕方がないのですが、まぁ、そんなことは「ともかく」としましょう。モンスターも宇宙人も出てこない話ですが、怖くて、不気味で、スリリングで、いかにも『トワイライトゾーン』らしいエピソード。ですが、このエピソードはアメリカのホラー映画史上においてちょいと重要な位置を占めています。この作品をリアルタイムで見て育ったスティーヴン・スピルバーグ監督が、このエピソードにインスパイアされて製作したのが、かの名作『ポルターガイスト』。オリジナル版のこちらは、特にモンスターらしいものは出てこない異次元世界の話、スピルバーグ&トビー・フーパーが作り上げた『ポルターガイスト』のほうは、魑魅魍魎がワンサカ蠢く霊界、という違いはありますが、確かに家族の絆が危機的状況に陥った幼い女の子を救い出す、というモチーフは同じです。見た目から頼りないお父さんが、案の定、頼りないながらも、体を張ってがんばって何とかする、というところも双方同じw。他にもスピルバーグはいろんなモチーフを『トワイライトゾーン』から受け取っているものと思われ、とうとう『劇場版トワイライトゾーン:超次元の体験』というリメイク版映画まで1980年代に製作することになるのでした。

作中の気になる英語表現

このエピソードも、なんとかこじつけて、英語表現の勉強に使いたいところなのですが、残念ながら本作、基本的には幼女と大人たちの呼びかけあいなので、凝ったセリフというものが特にない!
だからわかりやすい、というわけでもないのが、英語の厄介なところ。実のところ、私、このエピソードのように、Go! とか come!とかget!とかの基本動詞ばかりでセリフが構成されている映像作品のほうが、リスニングにおいては、大苦戦してしまうのです。
基本動詞ラッシュということは、つまり、GET ON、GET IN、GET OUT、GET OVERといった動詞句表現のラッシュとなるわけで、こういうのが束になって飛び交う劇に対しては、辞書的な知識はまるで役に立たない。もう、”ON”、”IN”、”OUT”、”OVER”といった前置詞・副詞の「意味」に通じるしか、太刀打ちする方法はないのですが、これはなかなか、外国語として英語を大人になってからオベンキョーした人間にはつらいところがある。もっとも、偉そうなことを言えば、ネイティブの子供たちは、難しい英単語よりも、まさにこうした基本動詞句の世界から言葉を学んでいるはずなので、日本語の「てにをは」と同じく、こういう基本動詞句を無理なく理解できるようになるのが、ノンネイティブとしては一つの目標であるべき、とは思うのでした。
とはいえ、これで終わっては英語の勉強にはならないので、ちょっと強引ながら、本作で少女を助けてくれた「物理学者」と、『ポルターガイスト』で少女を助けてくれた(?)「超心理学者」や「霊媒師」、他にも超常現象が起こった時に助けてくれそうな職業名を並べてみました。あなたなら、このうちの誰に最初に電話を掛けますか?

  • Physicist(物理学者) 例:本作で助けてくれた人
  • Parapsychologist(超学者) 例:『ポルタ―ガイスト』に出てきた、なんの役にも立たなかった三人組
  • Spiritual medium(霊媒師) 例:『ポルターガイスト』に出てきた、かなり役に立った人(ツメが甘いですが)
  • Native American shaman(ネイティブアメリカンの祈祷師) 例:『ポルターガイスト2』のほうに出てきた、とても役に立った人
  • Exorcist(悪魔祓い師) 例:もちろん映画『エクソシスト』に出てきた人。頼りになるのだが、なにぶん相手が強力すぎた
  • Voodoo instructor(ヴードゥー魔術の導師) 例:『チャイルドプレイ』に出てきて秒殺された人

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ウェールズにある「異様に名前の長い駅」は、ウェールズ語の発音練習に最適な駅名だった話

ウェールズ、と言っても、日本人にはほとんど馴染みがない国と思われます。ですが、ひとつ、雑学ネタで、そこそこ日本でも有名なものがありました。ウェールズには、やけに長い名前で有名な駅があるのです。しかも、その名前が、なんだか、子供向けファンタジー世界か、オトギバナシの中に出てくるような、とてもユニークな音をしている。どんな名前なのか、あえて日本語でカタカナ表現すれば、こうなります。

スランヴァイルプールグウインゲルゴウゲールウクウィールンドロブウリスランダスイハオゴゴゴッ

この地名は、雑学系のテレビ番組やサブカル本で、時折ネタになるので、私もずいぶん前から、知っていました。いざ、自分がウェールズ語を学習するようになった最近、「いよいよ、この地名を、ネイティブのウェールズ人のようにうまく発音してみたい!」と思い立ち、しかもYOUTUBEでよい教材を見つけたので↓、連日、試行錯誤をしているところなのですが。

やっぱり、超ド級に、難しい、、、!

ただし、いいこともあって、この駅名、ウェールズ語の発音の練習にはピッタリだ、と思うのです。理由は大きく二つあります。

1:ウェールズ語の最難関のひとつ、「LL」の発音がたくさん含まれているので、練習にもってこいなこと(LLは、英語の[L]を発音する口の形で、「ス」と「シュ」の間のような不思議な摩擦音を出す、ウェールズ語独特の音です。今回ネタにしている駅名の出だし、「スランヴァイル・・・」の「ス」がさっそく[LL]音です)。ノンネイティブにとっては、出だしから躓きやすい上に、語中にもしょっちゅう[LL]が出てくるので、厳しい。その分、練習にはいい。

2:これは、しょうもない理由ではありますが。。。「ウェールズ語をやっているんだ」と人に話をしたとき、「そうなの? じゃあ、何かウェールズ語でしゃべってみてよ」と社交辞令的なことを言われてしまうことがありますが、そういうとき、「ボレダ(こんにちは)」とかを言うよりは、このネタを出したほうが盛り上がる、という効用があるのですw。お酒が入っている時なら、なおさら、話題のきっかけに丁度よい。「ウェールズには、凄く長い駅名で有名な駅があるんだよ。こう発音するんだ、”スランヴァイルプールグウインゲルゴウゲールウクウィールンドロブウリスランダスイハオゴゴゴッ”」、と話をして、最後のところをウェールズ語ネイティブ伝授のキレイな発音でやってみせたら、「え? もう一回やってみて? ・・・面白い、もう一回やってみて?」と、飲み会のネタとして少し盛り上がることは間違いないです(少し、ですがw)!というわけで、私は今夜も、上述のYOUTUBEのお姉さんの口真似をしながら、この、やけに長いウェールズの駅名のパーフェクト発音マスターを目指して、いそしむのでした。

トワイライトゾーンで英語を学ぼう!第10回 : THE EYE OF THE BEHOLDER

格調高い動詞、beholdを使った諺・格言を学びましょう!

エピソードデータ

タイトル:THE EYE OF THE BEHOLDER
エピソード番号:#42 (第2シーズン)
放送日:November 11, 1960
脚本:Rod Serling
私のお気に入り度:ベスト10

あらすじ

ある病院の中、顔を包帯でぐるぐる巻きにされた女性が一人、病室で孤独な日々を過ごしています。患者の名前は、ジャネット・タイラー、あまりにも醜い顔に生まれてしまった為、これまで、どこへ行っても蔑まれ、差別され、行き場を失くした挙句、この病院に逃げ込んできたという人物です。看護婦たちが同情しつつも、恐ろし気に語るヒソヒソ話を聞くと、「かわいそうに、もしわたしがあんなひどい顔に生まれついていたら、自殺しているわよ!」「先生も、あまりにかわいそうなので、今回の手術を請け負ったそうだけど、うまくいったかどうかは包帯をとるまでわからないそうだし、、、」。
そう、ミス・タイラーは、この病院で整形手術を受け、術後の治療を受けているところなのです。「決して美人にしてほしいわけじゃない! ただ、どうか、普通の顔にしてください!」そんなミス・タイラーの悲痛な叫びに、病院の医者や看護婦たちは、応えることができるのでしょうか?彼女の包帯を取る予定日が、だんだん、近づいてきておりました。
・・・ところで、この物語を鑑賞していると、なんだか、映像の撮り方や、登場人物たちのセリフの中に、色々とおかしな点があることに気づくかもしれません。後半、ミス・タイラーの包帯が取られた時、その理由は一瞬で、明確になるでしょう

評価

つい先日、銀座の居酒屋で、私がトワイライトゾーンのことをブログで扱っている話をしたところ、年配のおっさんが「ああ、知っているよ! 包帯ぐるぐる巻きの女の子が出てきて、その包帯を取ったら、実は、、、っていう、あれだろ?」と声をかけてきました。そんなに海外ドラマが好きとも思えない、居酒屋のおっさんでさえ、このエピソードは知っていた(!)という、これは究極の傑作! 

あまりに有名なので、いろんなメディアでネタバレがされてしまっている状況ですが、できればこの作品は、事前ネタバレなしの新鮮な状態で、多くの人に観てほしい! 

ドンデン返しの妙、管理社会への恐怖、視聴者の盲点を突く伏線の巡らせ方、印象的なセリフ回し、そしてラストの余韻と、いろいろな意味で、シナリオの切れ味が抜群に効いている! 脚本家としてのロッド・サーリングが、ノリにノッていた時期の傑作と言えるでしょう。

作中の気になる英語表現

本作は、セリフ回しが、とてもいい!なんだか詩のような、あるいは演劇の独白シーンのような、綺麗な英語が、特に主人公ミス・タイラーのセリフに続出します。私のお気に入りのパートを引用してみると、

I never really wanted to be beautiful, you know.
I mean, I never wanted to look like a painting.
I never even wanted to be loved, really.
I just wanted people not to scream when they looked at me.
(拙訳)私は別に、美しくなりたいわけじゃない。
別に絵に描いたような顔になりたいと言っているわけではないし、
ましてや、人に愛されたいというつもりでいるわけでもない。
ただ、誰かが私の顔を見て、悲鳴をあげて逃げ出す、そんな日々から助けてほしいだけなの

May i just go and and sit in the garden?
Just for a little while.
Just to feel the air.
Just to smell the flowers.
Just to make believe I am normal.
(拙訳)先生、私、(包帯のままで)庭に出て座ってきてもいいですか?
ほんのしばらくの時間だけ。
ただ、空気を感じて、
花のにおいを嗅いでみたいだけ。
ほんのしばらく、私もまた『普通の人間』であると信じられるように。

上記で、ヒロインが「normal」という言葉を使っていますが、他にもこの作品においては、”a single norm”とか”a single morality”とかいった、「普通であること」「唯一の基準に従うこと」を示す言葉が頻発します。これらがすべて、ドンデン返しの、伏線になっているわけです。

最後に、本作品のタイトルについて述べておきましょう。THE EYE OF THE BEHOLDER。ここで出てくるbeholdという動詞は、聖書だとか、中世文学とかに頻出する、少し古い英語としての「見る」という動詞です。日本語で言えば、「見よ」とか「御覧になられい」というような、「意味はわかるけど、なんだか時代劇の中の言葉みたいに聞こえる」語彙となっています。だから、現代英語の日常会話ではあまり使いませんが、当然、歴史モノの映画とか、聖書や古典文学からの引用では頻出します。

たとえば私の手元には、ダンテの『神曲』の英訳版というマニアックなものがあるのですが、この中では、
“Behold the beast, for which I have turned back!”のように使われています(岩波文庫版の日本語訳では、「見てください獣を、あれに追われて戻ってきたのです」と訳されているパート)。聖書の言葉で有名な「空の鳥を見よ」のところも、英語では”behold the flows of the air”.
ただし、ネイティブの意見として聞いたところによると、「動詞のbeholdは古臭く聞こえるけど、名詞化したbeholderは、格言やことわざによく出てくるから、現代英語でもそんなに違和感ないよ」とのこと。

で、”Beholder”という言葉が入っている有名な格言の一つが、”Beauty is in the eye of the beholder.”「美醜は見る人次第による」というもの。まさにこの格言が、本作のタイトルに使われている上に、本作の(怖くも感動的な)オチにも見事に関わってきます!

それにしても、本作の主人公、ミス・タイラーは、逆説的な意味で、「トワイライトゾーンシリーズ中の、忘れがたい名ヒロイン」の一人といえるでしょう。このラストの後、どのような生涯を送ったのかは明示的には語られていませんが、なんとか、幸せになってほしい。。。

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トワイライトゾーンで英語を学ぼう!第9回 : THE DUMMY

エピソードデータ

タイトル:THE DUMMY
エピソード番号:#98 (第3シーズン)
放送日:May 4, 1962
脚本:Rod Serling
私のお気に入り度:ベスト9

あらすじ

ジェリーは人気沸騰中の腹話術師。ウィリーは彼の使う人形。『ジェリー&ウィリー』という芸名で、今夜もクラブのショータイムを賑わしています。奔放自在なジェリーの腹話術の巧みさに、お客さんは大ウケ。クラブの経営も潤って、何の問題もないかのように見えました。ですが、一人、当のジェリーは浮かない顔。楽屋に引っ込んだ後、ジェリーは今日も、酒浸り。何か悩みがあるのかと、話を聞いてみると、彼が主張するには、人形のウィリーは実は生きていて、最近、だんだん言うことを聞かなくなってきているのだ、とか。確かに、ジェリーの手には、ウィリーにかみつかれたという歯痕が。そういえば今夜のショーの最後の場面、幕間に引き下がろうとしたジェリーの手に、ウィリーが「まだ帰りたくない」と噛みつくギャグシーンがあったのですが、ジェリーは、あれは腹話術のアドリブ芸などではなく、本当にウィリーが反乱を始めたのだ、と主張するのです。

評価

どうやら、ロッド・サーリングは、人形を扱ったホラーエピソードが得意らしい。トワイライトゾーンにも、さんざん、「人形」ネタの作品が登場してきます。ネタバレになってしまうので、どのエピソードとは明言はしませんが、このTHE DUMMY放送前のトワイライトゾーンシリーズ内でも、既に以下のようなアイデアが登場しておりました。

  • 人形が実は命を宿していた、のオチ
  • 人間だと思っていたものが人形だった、のオチ
  • 主人公が、自分は人間だと思い込んでいる人形だった、のオチ
  • そもそも、登場人物全員が人形だった、のオチ(w)

本作、THE DUMMY、オチのアイデアとしては、上記の次第もあり、特に目新しいものではありません(もっとも、ラストシーンをどう解釈するかによって、本作の意味合いはずいぶん変わる、そんな曖昧さが残る作品に仕上がっているので、一筋縄ではありませんが)。ただ本作は、トワイライトゾーンの「人形ホラー」系の集大成のようなところがあり、表現が洗練されつくしている。人形ウィリーの存在感といい、舞台となっている楽屋の薄暗さといい、とにかく雰囲気づくりが上手くて、ダントツで怖い。カメラワークの小技も冴えわたっている。まるでJホラーを彷彿とさせるような、「カメラの視界の外で何かが起こっていることを暗示させてビビラせる」フレーミングが、とても効果的に使われています。どういう小技かを、言葉で説明するのが難しいので、以下、手書きで汚く申し訳ございませんが、図示説明させていただきます。

↑こんなカメラワークが前半で頻発。後半になると、逆に、「またやるかな」と予感させておいて、今度は人形がまったく動かない、という、フェイントをしかけてくる(w)。と、気合を入れて図示までして説明してみましたが、ふと思い出したことが。これとおんなじようなカメラワークでのビビらせ技、プレステのゲーム『サイレントヒル』(確か第四作)でも頻発で使われていたな、、、。

ちなみに本作の悪玉(?)人形ウィリーは、本エピソードにおけるインパクトの強烈さのせいで、トワイライトゾーンの名キャラとしてアメリカの人々の記憶に深いトラウマを宿したらしい。アメリカのディズニーワールドにある、トワイライトゾーンのアトラクション(日本のディズニーリゾートでは『タワー・オブ・テラー』という名前に変わっていますが)内には、この人形がさりげなく飾ってあるとか。見に行きたい、、、!

作中の気になる英語表現

本作のタイトルは、The Dummy。上述の通り、トワイライトゾーンには他にも人形がモチーフになったエピソードが多々ありますが、その代表作の一つが、The living doll。「あれ?人形ホラーなのに、dollとつけるときと、dummyとつけるときがあるの?」と気になった人は、まさに、このブログの読者として望ましい方です! ええ、そうです。管理人たる私は、めちゃくちゃ気になり、この問題についてかなり細かく調べておりましたw。

というわけで、今回は、「人形」を表す英語表現について掘り下げてみましょう。というのも、もしあなたが、生きている人形に襲われているときに、通りがかりのイングリッシュネイティブスピーカーに助けを求めるとして、そこで自分で襲っているものがdollなのかdummyなのかpuppetなのかmuppetなのかがパッと出てこないと、取り返しのつかないことになるかもしれませんから!

  • Doll : 「人形を英語で言うと?」と聞かれたとして、普通にパッと思いつくのはこれでしょう。私もてっきり、最初にdollという言葉がまずあって、この中から、puppetとかdummyとかの言葉が分裂していったのだ、と、漠然と思っておりました。ところがどうも違うらしい。Dollというのは、もともとは小さな女の子に対する愛称(特に、「ドロシー」という名前の子に付けられる、あだ名)であって、人形の意味になったのは近世から。いわゆるフランス人形のような、「女の子を模した、かわいらしい人形」がdollであって、かわいくない人形や、愛玩用でない人形には、あまりしっくりこないらしい。ではそういうのはどう呼ぶかというと、
  • Puppet : もともとはこちら。私個人は、操り人形のこと、というイメージでとらえていたのですが、指人形なんかもpuppetで呼ばれます。考えてみれば、ヨーロッパの中世を舞台にしたドラマや映画では、小さなpuppetによる人形劇が庶民の娯楽として、よく出てきますよね。もともとはpuppetが圧倒多数で、子供が抱っこをしたりおままごとに使ったりする愛玩用のdollのほうが、比較的新しい奴らだ、と言われると、なんとなく、確かに、イメージにもあってきます。
  • Dummy : これは、寸劇用でも愛玩用でもなく、実用のための「人形」ですね。交通事故実験で使われる人形も、デパートのマネキン人形も、dummy となります。また、腹話術師が使う人形もdummy と呼ばれるそうで、本エピソードのタイトルはこちらから来ているのですね。ちなみに、「腹話術師」の英語は、ventriloquist。見るからにラテン語からきたと思しき、なかなか格好いい言葉、、!
  • Muppet :  これは、おまけながら、たまに聞く「マペット」というのはなんだろう、という話ですが、これは、セサミストリートで有名なジム・ヘンソンさんが自分の劇団の人形を呼ぶときにつけた造語です。よって、厳密には、ジム・ヘンソンさんの監修する映画作品にしかマペットは出てこないはずですが、セサミストリートがここまで有名な以上、ああいう「モフモフしたかわいらしいパペット」を表す言葉として、今後定着しちゃうのかもしれません。

という次第で、人間を襲ってくるのはdollかdummyの可能性が高いです。puppetが襲ってくる、というのは、ちっちゃい連中なのであんまりイメージが湧きませんが、『ジョジョの奇妙な冒険』に、まさに、人を襲う操り人形のスタンドというのが出てきたので、そういうことも、なくもない。Muppetが人を襲う、というのだけは、かなり考えにくいw。ですが、なんでもかんでもをネタにしたなが進むホラー文化の歴史、いずれは、マペットが人を襲うという路線での名作が、出てくることもあるのかもしれません、、!

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