Argo(アルゴ)を読んでの書評—脚色の強い映画版よりも、地味なノンフィクションである原作のほうが僕には数段面白かった

ベン・アフレックによる映画化で有名になった『アルゴ』の原作を読んでみました。
原題は、Arugo: How the CIA and Hollywood Pulled Off The Most Audacious Rescue In History(アルゴ:いかにしてCIAとハリウッドは、歴史上稀に見るほどの大胆な救出作戦を成功させたか?)。
とても真面目な、元CIA諜報員による回顧録だ。

課題を与えられ、仲間と必死にブレストし、解決方法を見つけ、周到に練り上げ、当日に準備通りに実行する。
と、いう、とても地味な活動が、巨大な成果に結びつく(救出不可能と思われていた外交官を無事に敵国から脱出させる)、
ということでは、なんだかプロジェクトXのようなところもある本だ。
ただ、仕事の手の内を明かしてくれているのが、CIAのトップエージェントなのだから、
読んでいて、「やはりプロの仕事はすげえな」と、襟を正してしまう。
仕事に熱意をもっているビジネスマンであれば、本書の著者の、仕事への取り組みの熱心さには、おおいに胸打たれるところがあるのではなかろうか!?

映画版を知らない方のために、簡単にあらすじを説明しておくと、以下のようになる↓
↓  ↓  ↓
イラン革命後に起こった「アメリカ大使館襲撃事件」が、物語の背景。
この事件で、現場(つまり襲撃された大使館)から、かろうじてアメリカ人職員6名が、逃げ出すことに成功した。
彼らは、どこもかしこも敵だらけとなったイランの首都テヘランの中で(みんながアメリカ人を見たら当局に差し出す気まんまんでいる!)、
カナダ大使の保護を受けることで、どうにか、隠れ家を見つける。

だが、もし、隠れ家に潜んでいるところが見つかったら、
確実に彼らは、イランの治安当局に逮捕され、人質にされ、最悪の場合は処刑されるだろう。
しかしテヘランに、救出部隊を送り込むことは不可能だ。かといって、見殺しにすることも、もちろんできない。では、どうすればよいのか?

そこで、著者の、アントニオ・メンデス氏のチームに、CIA本部内で特命が下る。
手段はなんでもよいので、六名の外交官を、敵国の首都の中で見つけ出し、そこから救出して、アメリカ合衆国に連れ帰る方法を探せ、と。
「英語教師の研修グループに変装させよう」とか、「陸路でトルコに逃がそう」とか、いろんな方法を考えるのだが、どれも、ダメ。
そんな中で、ついに思いついた奇策中の奇策が、

「潜伏中の六名に、ウソの経歴を用意し、全員がハリウッドの映画業界で働いている業界人、ということにしてしまう。
すなわち、最近成功したスターウォーズ(本書の背景は70年代末)のようなSF映画のロケ地を探すために、わざわざイランにやってきた、
ハリウッド映画界のプロダクションの職員だということにしてしまう。
架空の惑星を舞台にしたSF映画を撮影するロケ地を探している映画人ということにすれば、
革命で混乱しているイランにわざわざ仕事で来ている、という説明をしても信憑性が出るだろう」。

最初は無茶に思えたこの作戦だが、検討すればするほど、これこそが「唯一、成功の見込みがあるプラン」と思えてくる。
アメリカ大統領のOKまで得た上で、主人公たちは、
ウソのプロダクションを、ハリウッドの町中に設立し(イランの治安当局が怪しんで調べても、ちゃんと稼働中の電話番号が見つかるようにするための工作!)、
ウソの映画広告を、本当に映画雑誌に掲載し、きちんと、ウソの映画脚本や、絵コンテ(!)まで準備して、イランに乗り込んでいく。。。
そのウソ映画のタイトルが、『アルゴ』であった。
↑ ↑ ↑

・・・と、あらすじを読んだだけでは、一種のキワモノのように聞こえるかもしれないが、
「イランの当局者が怪しんだら、名刺に書いてある電話番号に国際電話をかけてくるだろう」→本当にプロダクションを設立し秘書を雇って「開業」させておく。
「イランの当局者が怪しんだら、映画雑誌を調べるかもしれない」→本当に広告出稿をしておく。
などなど、事前に、「考えられるかぎりの事態」を想定しておいて、手を打っておくプロセスが、まさに「プロの仕事だな」と感心させる。
僕自身も企業で働く組織人として読んで、なんだか、感動してしまった。仕事ってのはこうでないとね。

本書は、ノンフィクションなので、それほど劇的な事件は起こらず、淡々と進んでいく。
それでも、事実は小説より奇なり、「ウソのSF映画企画をでっちあげて、そのウソ企画をもとに、敵国内で指名手配されている外交官を映画業界人に変装させて、
まんまと空港から堂々と出国させる」という大胆な作戦が、いかに企画され、本当にうまくいっちゃったか、の事例報告として、めちゃくちゃ面白い。
だいいち、この物語、シチュエーションは極限常態の危機のはずなのに、どこかユーモラスで、痛快で、笑ってしまう。

そして最終章、あれから二十年ほどが経過した「現在」の話題になり、
救出された六人と、救出作戦を指揮したCIAチームが、バーベキューで「同窓会」を開き、
「ウソ映画『アルゴ』に乾杯!」とするシーンには、なんだか、涙が出そうになった。
仕事に成功したあとの飲み会・食事会というのは、かくありたいものですね!

本書の締めの言葉は、
“We’d saved the lives of six people — not a bad haul for a film that never existed.”となっている。
「実際に封切られなかった映画が六人の人間の命を救ったなんて、それはそれで映画史上に残る成功事例じゃないか?」とでも訳すべきニュアンスか。
たしかに、映画ファンとしても、この物語には何かしら、素敵な魅力を感じる。

事実は小説よりも奇なり。
使い古された言い方だが、まぁ、そういうことなのだろう。

ある絵本の主人公が別の絵本の主人公にミートボールをプレゼントした事象の話

僕の娘が、二冊の絵本を読んでいたら、
片方の絵本の主人公の、女の子が、
もういっぽうの絵本の主人公の、男の子に、
お弁当のミートボールをプレゼントした。

絵本の登場人物が、フォークでお弁当の中のミートボールを持ち上げて、
隣の絵本の登場人物の、お弁当の中に、「これ、あげる!」と、
文字通りに「ページをまたいで」ミートボールを置いたのだ。

僕も驚いたし、
娘も驚いた。
そして父子とも、おおいに、その不思議な現象に喜んだ。

それは、つまり、こういうことだ。

絵本作家、スギヤマ カナヨの作品、
ぼくのおべんとう」の中で、
主人公の男の子が、同じ幼稚園(あるいは小学校?)の女の子から、
ミートボールをもらうシーンがある。

ところが、同時出版された、
同じ作家による作品、「わたしのおべんとう」の中では、
主人公の女の子が、同じ幼稚園(あるいは小学校?)の男の子に、
ミートボールをあげるシーンがある。

一見すると、「男の子用」「女の子用」として描き分けられた別作品のようでいて、
この二冊の絵本は、実は、作中世界どうしがシンクロしていたことがわかる。
双方の絵本を買いそろえた一家だけが、はじめて、気づくことのできる、オシャレな仕掛けだ。

二つの絵本の、該当のページを並べて開いてみると、
まさに、「絵本をまたいでミートボールが移動する」不思議なシーンが完成するのだ。

僕も娘も、そんな仕掛けが隠されていることを知らずに二冊の絵本を読んでいて、
不意打ちでこのページに出会い、おおいに、感動したところだ。

「すごいね! 絵本から別の絵本に、物が動いたね! こんなことが、できるんだね!」と言うと、
娘も、それ以降、この絵本については、かならず、二冊並べて読むようになり、
ミートボールの「移動」のシーンを楽しみに、ページをめくるようになった。

仕掛け自体は、シンプルだが、僕はこういう「メタな仕掛け」の類が大好きだし、
それを二歳の娘が理解して面白がっているというのも、それはそれで、小さい子供の感受性というものの豊かに感心してしまう。

もう少しGoogle Trendsで遊んでみる

昨日の記事では後半にStarWarsの話に脱線してしまったわけだけれども、
実は、あの後ももう少し、Google Trendsで遊んでいた。
StarWarsの中の、僕のお気に入りキャラ、アクバー提督の検索数が
もう少し、上がる瞬間がないか、しつこく、やってみていた。

GoogleTrendsでの遊び方の紹介もかねて、やったことのキャプチャを残しておく。

【1】Google Trendsに入る
【2】地域を「日本」に設定する
【3】検索キーワードに、自分の興味のあるキーワードを入れてみる。今回はスターウォーズのキャラクター名を入れていく
【4】[+比較]を押すと、最大で5つまでのキーワードを比較できる。というわけで、スターウォーズのキャラクターを5名、並べてみる
※ 目的は、アクバー提督というニッチなキャラクターが、どこまで「ルーク」とか「ハン・ソロ」とかいったメジャーどころの名前に、検索トレンドで対抗できているかの調査となる。

青がルーク、赤がハン・ソロ、黄色がレイア姫、緑がカイロ・レン。そして紫色が、ターゲットの、アクバー提督である。
適当に並べた5名だが、すでに提督の完敗は明白。
『最後のジェダイ』に登場していないハン・ソロと、やっと互角である。
アクバー提督、『最後のジェダイ』にちゃんと登場したにも関わらず、、、。

それにしても、ふと気が付いた。
劇場公開中よりも、最近の、2018年4月に、カイロ・レンが爆発しているのは何だろう??

これは、色々調べてみて、なんとなく、わかってきた。
この時期にモンストとスターウォーズのコラボ企画があったらしい。
その流れの中で、「カイロ・レンって誰?」と検索した
「モンストは知っているがスターウォーズは知らない」層の動きがあったのではないかな、と推測する。

ためしに、黄色を差し替えて「ダース・ベイダー」にしてみたら、こちらも4月に大爆発。
悪役二人が、日本においては、むしろ2018年4月に検索を集めていたようだ。やはりモンストの影響が強いのかな。
それも、ダース・ベイダーの黄色いグラフが、カイロ・レンの緑色のグラフを完全に飲み込む勢いだ。
ダース・ベイダーというキャラは、世代を超えて人気が強いね、、、。

ただ、これだと、アクバー提督の紫色のグラフが、ますます、壊滅的である。
さすがに、『最後のジェダイ』に登場していないニッチなキャラを並べたら、
少しは健闘できるかと、やってみる。

ランド、ジャバ、ボバフェットと、
ここまでニッチなキャラを集めて、ようやく、強くなった。。。
さすがにこの5キャラの中では、アクバー提督は健闘して、ハン・ソロと互角である。
最近になってハン・ソロの検索トレンドがハネ上がってきているのは、外伝が公開予定だからでしょう。

ちなみに、地域をアメリカ合衆国に変えて、
最初のキャプチャと同じ五名を入れてみる。
ルークは青、ハン・ソロが赤、カイロ・レンが黄色でレイア姫が緑(日本での調査の時と、色の順番を間違えちゃった、、)、そしてアクバー提督が紫である。
今度は、当然、モンストの影響はないので、
『最後のジェダイ』劇場公開中の、純粋なトレンドランキング勝負となった。
面白いのは、カイロ・レンが普通に強くて、レイア姫が日本に比べて弱くなっちゃったこと。
ただしこれは、レイア姫にはPrincess LeiaとかLeia Organaとか、書き方が複数あるので、
表記ゆれの影響かもしれない。

それでは、スペイン語圏では、キャラのランキングはどうなるか、とか、
インドやエジプトでは好みに違いが出てくるか、とか、いろいろやってみたいことも思いつくが、
ますます、しょうもない遊びになってきたので、今夜はこの辺りにしておこう、、、。

Everybody Lies 書評_3:本書を参考に、GoogleTrendsでバルス祭りを追跡してみる

Everybody Lies“の読後感想、続き。

そうやってアメリカでの人々の「隠れた性向」を検索キーワードから分析していくのが、
標題の”Everybody Lies”の面白さだが、
ここで使われている方法自体は、そんなに難しくない。

似たようなことは、誰でも、無料で、できる。

GoogleTrendsは基本機能だけなら無料で使えるので、
これの対象地域を日本にあわせ、日本語のキーワードを入れてみれば、
僕らも、自力で、「日本人の隠れたキーワードトレンド」を炙り出すことが、ある程度は、できる。

ちょっと、実演してみよう。

GoogleTrendsに入り、たとえば、「バルス」と入れてみると、以下のようなグラフが得られる。

2017年9月27日に、該当のキーワードのトレンドが爆発的に上がっていたことがわかる。サブカル好きの方なら、なぜかはお分かりかと、、。

と、バルス祭りを視覚化するだけなら、あまり面白くもないが、
似たような「ある一日だけの爆発キーワード」があるかどうかを探してみる、なんてのは、面白い。

特にサブカル系や映画系で、
「これは僕以外にはあまり好きな人はいないキャラクターだろうなー」とか思っていたものが、
意外にトレンドで検討していたりすると、これは、うれしくなるし、
ある時期だけ突出していると、そこで世の中に何があったのか、気になったりする。

僕の好きなスターウォーズの世界でいえば、

アクバー提督の検索トレンドが年末に上がっていること、とか。
いやいや、そうですよね。。。誰だって、新作、『最後のジェダイ』を映画館で観ていて、
「あのやけに張り切ってリーダーシップを取っているタコみたいなキャラはいったい誰なんだ?」と
思いましたよね。旧シリーズから見ている人でも、なかなか覚えている人はいないチョイキャラですし
(僕は、初めてスターウォーズを見た幼稚園児の時から、アクバー提督の大ファンなのだが)。

まぁ、日本にはスターウォーズのファン層自体が少ないし、
アクバー提督くらいのキャラになると、みんな、覚えていないのだろう。
アメリカ本土では、きっと、事情が違うだろう。

ありゃ、アメリカで調べてもおんなじだった。。。

※と、やればやるほど、しょうもない分析に堕してきたので、この辺りにしましょうか。

Everybody Lies 書評_2:ビッグデータがフロイト先生を越える時

さて、”Everybody Lies“の読後感想について、である。

主にGoogle検索に入ってくる
検索キーワードのトレンド分析から、
世界の人々の様々な性向・傾向を炙り出す、、、というのが
本書で行われているデータ分析だが、

内容としては、かなりエグい。

ユ二ークな分析結果が続々出てくるが、面白いのは面白いのだが、
いっぽうで、「人間ってやつは、、、」と、暗澹たる気持ちになり、
そういう意味で、背筋がゾクゾクとしてしまう。人間ってこわいのかも。

著者が目をつけたのは、
現代において、人々は
「Google検索を相手にすると、なぜか露骨な本音を書きこむ」ということ。

本書において発掘されるのも、
無意味に「I hate my boss(上司が嫌い)」とGoogle検索に打ち込む人々の姿であり、
無意味に「Is my son genius?(うちの子って天才かしら?)」と検索に打ち込む人々の姿であり、
オバマ大統領がテレビで演説している時間帯になると、
なぜか(きっと大統領の格調の高い演説を横目で見ながら)、
「黒人をネタにした笑えるジョーク」を検索する。
そんな「教養ある市民階級」のマジョリティーの姿である。

みんな、いったい何を検索するつもりで、
そんなキーワードを入れているんだか。。。

でも、おそろしいことに、確かに、自分にも、
そういう「他人には見られたくない」一面を
露骨に検索エンジンには入力しまっているケース、
いろいろ、思い当たる。。。

というわけで、
しょうもない検索、
人種差別むき出しの検索、
殺意と反社会性に満ちた検索などが、
いろいろと発掘され、分析のまな板に載せられるわけだが、

とりわけ面白くて、とりわけエグいのが、
性に関するキーワードを分析した章だった。
品行方正な市民の皆様が、
自宅のPCで、Google検索を相手にしているときは(そして多分、よほど暇な時は)、
いったい何を検索しているんだ!?と戸惑うほどの、
凄まじい検索キーワードがトレンドに上がってくる。

とてもとても、このブログに僕自身も打ち込めないような
エグいキーワードばかり。
興味がある人はぜひ、この書籍のほうを読んでみてほしい。

本書の著者は精神分析への知見も一通りあるようで、
ビッグデータから抽出してきたキーワードをもとに、
フロイトの精神分析理論の通説のうち、棄却されるものと、保持されるものの
よりわけを行う、という面白いことをやっている。

結論だけ言うと、いわゆるフロイトの「夢判断」の理論については、
ビッグデータの検証と比較すると、どうもフロイト理論の分は悪い。
だが、いわゆるエディプスコンプレックス、エレクトラコンプレックスの話については、
これはビッグデータ的にも、なるほど、たしかに、人間のそんな傾向が見えてくる。。。

(「フロイトやニーチェが現代に生きていたら大悦びしてデータアナリストになっていたろう」
 という意味のことを著者は言っている。そうかもしれない)

英語の勉強、という面でも、
本書は僕の語彙力を深める役に、おおいに、立ってくれた。
日本語でいう「○○フェチ」とか「○○コン野郎」とかに相当する
多種多様の(きわどい)英語表現と、
本書のおかけで知り合うことができたわけだから。

・・・使いどころのない英語語彙ばかりだけれども。。。

Everybody Lies 書評_1:英語の本の要約を英語で書かされる話

「洋書大好き」であることを、このブログで公言しているので、
僕のことを、大変な語学通と、誤解している人もいるかもしれない。
だが、僕の英語力は、文字通りの、「好きこそものの上手なれ」のパターン。

あまりにも外国語で本を読むのが好きなので、
読解力に関しては、かなりのものだと、これは自信がある。

けれども、話すほうは、たいしたことはない。

経験が少ないからだ。

そりゃ、外国人ネイティブ講師のいるスクールに通う時間があれば
図書館でトールキンやらスティーブン・キングやらを
原書で読んでいるほうが百倍楽しい!
・・・と、わざわざ英語の教師を前に宣言していたほどのしょうもない学生だった僕のこと。
話す訓練など最初から興味もなかったのだから、苦手意識もやむない。偉ぶる話でもないが。

でも仕事でも使う頻度は高まってきているので、一応、最近は努力もしているぞ。
週末にはようやくネイティブ講師のカルチャースクールなどへ行って、会話の練習をするようになった。

ところがそのネイティブ講師と二人で話をしていると、
どうしても、最近私が読んだ英語の本が話題の中心になる。

英会話の練習というよりは、私が講師に「最近面白かった英米の本」の紹介をする時間のようだ。
ついにネイティブ講師のほうが、
「あなたの英語スキルは読解力があるのだからそれ一本でよいじゃないか」
みたいなことを言ってきた。でもそれじゃ、会話を練習する気になった僕のモチベーションの行き場がない。

「それなら、英語の本を読んで、内容を英語でレポートにして毎回、持ってこい。
それを挟んで会話をしながら、文法や語彙のアドバイスをしてあげよう」
みたいなことを、言われた。

お題として選んだ本が、最近話題のビッグデータに関する本
Everybody Lies“。
日本語では『誰もが嘘をついている』というタイトルで翻訳が出ている。

全八章あるこの本を通読して、
各章=ノート1ページに、英語で、要約をまとめる。そういう宿題だ。

やってみると、この宿題が、僕にはぴったりだった。

というのも、英語の本を読んでいる時の僕は、以下のような一種のジレンマを感じていたわけで↓

・英語の本をたくさん読みたいから、一冊にあまり多くの時間をかけていたくない
・必然、飛ばし読みになる
・しかし、英語の本を読むのは、英語の訓練も兼ねているのだから、自分のペースで飛ばし読みをしていたら、なんだか手抜きみたいで、訓練をしている充実感がない
・悩んでしまう

しかし、人に見せることを前提にしたノートをとるために読む、となると、
大事なところはむしろ、ノートに抜き書きをしながらしっかりと読み、
「あ、ここは要約作りの上では、あまり関係がなさそうな部分だな」と
見抜いたところは、ささっと、斜め読みができる。

読み方にメリハリがつく。

それでいて、ノート作りをしているわけだから、本の内容もとても頭に残るし、
英語の訓練としても、とても良い。英語の語彙がどんどん鍛えられているのがわかるのだ。

英文学作品や哲学書などを相手にするなら、
一文一文を味わう精読が結局は必要になってくるだろうけれども、
テクノロジーや時事問題を扱った本、今回の”Everybody Lies“のようなものについては、
こういう「要約ノート作り」が、ちょうどよい付き合い方になるのではないか。

などと、思った。

というわけで、他にも類似のジャンルで、
勉強にもよさそうなレベルの英書を求めてAmazon.comを今夜もさまよう。

Soccrematics書評_1:欧州サッカーのゴール数をポアソン分布にしてみる

ワールドカップRussia2018が盛り上がっている。
こうなると、洋書好きの僕の、読書対象も、がぜん、サッカーになる。

ただし、サッカーという競技を、プレイヤーに感情移入して観るには、僕には競技経験がなさすぎる(つまり学生時代は文科系、、)。
だが、サッカーという競技を、スポーツ統計として(いやらしい言い方だが、ビジネスとして!?)俯瞰して、
数字を集めて、いじくりまわして、
オーナーやマネージャーに感情移入して、
どの選手・どのチームが「買い」かをああだこうだ言うほうは、それなりの年季が入っている。そういう意味でのサッカーファンである。

↑ただし、これを「純粋なサッカーファン」の前で話題にすると、けっこうシラけられるので、、、これからも、あくまで秘密の趣味にしておこう。

さてと。この場所でなら、数字で観るサッカーの話をいろいろ並べてもいいだろう。

サッカーのデータ分析をめぐる、洋書について話すなら、
最近のものでは、David Sumpterの、”Soccrematics”が面白い!

日本語訳としては、『サッカーマティクス 数学が解明する強豪チーム「勝利の方程式」』という題名で出ている。
これは日本語訳を図書館から取り寄せて読んだが、存外なほど面白かったので、そのあと、英語版を購入した。
一年ほど前に買った本だが、面白い章だけ何度も読み返し、使えそうなデータ分析ネタはノートに抜き書きして、
世の中でサッカーが話題になる時期のたびに、ノートの該当ページを読み返す、そんな付き合い方をしている。

Soccermaticsの著者は動物行動学者なので、もともとは、魚の群れの集団運動をシミュレーションにする、というようなことをしている分野だ、
それゆえ、本書にも、バルセロナやバイエルンミュンヘンの選手の動きを行動モデル化する、など、
高いソフトを持っていないととてもできない高度な分析も出てくるが、
いっぽうで、個人で所有できる分析ソフトでも十分マネできる事例もいっぱい載っている。

特にわかりやすくて、好きなのが、
英国プレミアリーグ(著者はイギリス人!)に観戦に行った場合、
「1試合につき、ゴールシーンは平均、何回見られるか」を統計から割り出したもの。
これは難しいことはない分析だが、確かに、興味はそそられるテーマだ。
純粋にサッカーの楽しみは「ゴールシーンを見ること」だと考えるなら、
《90分ごとのゴールシーン数 = 期待値≫
ということになる。

Soccermatics上での結論だけ先に述べてしまえば、2012-2013のプレミアリーグの試合データで見たとき、
1試合ごとの期待値は2.79。
素直にとらえるなら、サッカーの試合は、だいたい両チームで2点から3点を分け合って決着することになる。

拮抗しているチームなら、1-1で終わるかと思いきや、それが2-1になって決着、というパターンが多く、
実力が開いているチームなら、2-0や3-0で試合が終わり、
4点や5点が入る試合は「今日は点が入りやすい試合だった」という感想をみんなが持つ。
・・・と考えると、実感とも、なんだか、あっている(と、私は思う。いかがでしょう??)

この分析は難しくないので、自分でもPythonを使ってやってみた。
本書では2012-2013のプレミアリーグをベースに分析していたが、
僕のほうは、さらにデータを拡大し、スペイン、フランス、ベルギー、オランダ、ドイツのリーグのデータも加え、
年度も、2012-2017と、最新のデータまで拡大する。

横軸に、1試合のゴール数、縦軸に試合数をとって、matplotlibでヒストグラムにして、
そこにポアソン分布を重ね合わせてみる。(青が実績、緑が平均値と試行数を実績とイコールにして乱数出力したポアソン分布)

 

データを拡張したが、だいたい、Soccermaticsの分析と一致した。
平均は2.7程度。
分布はポアソン分布に近似する。
これが欧州サッカーの特徴、ということになる。

これは、どう解釈しよう。
・サッカーというのは、だいたい、90分間に2~3回のクライマックスがあり、その頻度がちょうどスリリングなので、人気がある
・サッカーというのは、だいだい、90分間に2~3回のクライマックスが生まれるようなルールとシステムのスポーツに調整されていて、人気を保っている
僕個人としては、後者にやや傾いた解釈をとりたい。
たぶん、あんまり派手に点数が入りすぎるようになってくると、
それはそれで面白くないという社会からのプレッシャーがかかって、
けっきょく、だいたい、これくらいに収まる仕組みになるのではないか、と。仮説だけど。

MATH CURSE というタイトルの数学絵本を娘に読み聞かせてみた

ある一人の女の子が、ある月曜日に、
数学の先生に、「日常には数学が溢れているのよ」と言われたのを、
真に受けたせいなのか、なんなのか。

火曜日から、世界が違って見える。

昨日までは当たり前にできていたはずのことが、とても不思議なことに、見える。

たとえば「8時にスクールバスが迎えに来る前に、着替えて歯磨きをして着替えをする」ことが、
とても複雑な工程を組み立てているように思える。

「24個のおみやげのケーキを、
24人のクラスで分けようとしていたら、
先生も食べたいと言い出した」ということが、
世界を終わらせるほどの怪事件に見える。

とか、とか、とか。

とてもスナオな子供の目線が、日常生活の中の「摩訶不思議な数学」に気づいていく、
そんな経験を、お洒落なアートワークで魅せてくれる、
アメリカから取り寄せた洋書絵本。

面白がるかと思って、
二歳児の娘に読み聞かせてみたところ、
「宇宙人のところが怖い」と言い出した。

本書の途中に、「二進法でしかモノを数えられない宇宙人」やら
「三進法でしかモノを数えられない宇宙人」が出てくるところがあるのだが、
そのページのビジュアルが、怖い、というのだ。

それでいて、僕がお風呂から上がってくると、
娘が一人で、当の、その、宇宙人のページを神妙な顔をして読んでいる。

怖いもの見たさ、というやつなのか。
あるいは、「二進法しか知らない宇宙人」というものに、
子供なりに何か魅力を感じたということなのか。

こうしたアート絵本を通じて、心に何か、ひっかかった一ページの絵の印象が、
この娘が大きくなって数字やコンピュータを扱うようになったときに再燃して、
数学の世界へのよき導き手となってくれればよいのだけれど。などと、ふと、思う。

それにしても、、、

二進法を説明するのに、「手に指が一本ずつしかない宇宙人」を登場させて、
ビジュアル的に右脳から理解させようというのは、良い手かもしれない。

僕も将来、娘がもっと大きくなって、「ニシンホウってなあに?」と聞いてきたら、
「手に指が一本ずつしかない宇宙人」の物語を作って、教えてあげようか、などと、ふと、思う。

それを聞いて、概念を理解してくれれば、理系への道が開かれるし、
「その宇宙人の日常生活はどんなふうなのだろう?」と余計な空想を膨らませるなら、文系への道だ。

どちらに、行ってくれても、よい。
開かれた道を、興味を持って、進んでくれるならば!